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授受作用をすると、家族として存在する力、喜びを繁殖する力、様々な生活する力などが湧き上がってきます。授ける力と受ける力が一つとなって、家庭での授受の関係ができるようになります。
親が子供に愛を授け受けるということは、子供の気持ちを分ってあげたい、共感してあげたいと願う気持ちで、子供に向き合い話を聞くことです。そして、子供の気持ちが共感できたときに、親の愛情が子供に伝わるようになるのです。つまり、子供が「親は私の気持ちをわかってくれている」と感じるのです。子供の心に向き合って、子供の気持ちを「聞いて共感する」ことを通して、親の愛情が子供に伝わるというのが、先回まで学んできた「共感的聴き方」、並びに「積極的聴き方」でした。
授受作用のもう一つの方向が、子供と向き合って「気持ちを伝える」ということです。この時、親の気持ちを伝えることを通して、愛情が子供に伝わるようにするのが「親メッセージ」です。『親業』の中で明確に説明されているのですが、「親メッセージ」とは、自分の感情的思いではなく、共感したい思いで子供に接して、親の気持ちをそのまま「私」という言葉を主語にして表現することです。「親メッセージ」の特徴は、相手の行動に対して「良い」とか「悪い」とかの評価を下さずに、「自分はこう思う」というように自分の気持ちを表現できることです。親の言葉の中に、子供の「行動」が親にどんな「影響」を与え、親がどんな「感情」を抱いたのかをわかりやすく盛り込んで、子供に伝えることです。叱ったり怒ったりすることなく、分かるまで穏やかに何度も子供に伝えて行くのです。
今までに学んだ「共感的聴き方」や「積極的聴き方」によって子供の気持ちを「共感」した土台の上になされるのが、ここで学ぶ「親メッセージ」です。「共感的聴き方」や「積極的聴き方」を実践することを通して、「親メッセージ」を正しく実践することができるようになります。子供の気持ちを共感しようと、何度も何度も「聴き方」を実践していく中で、「親メッセージ」を用いて親の願いを子供に愛情をこめて伝えることができるようになります。
慣れるまでは、難しく感じますが、子供の気持ちをしっかりと共感できるようになれば自然と「親メッセージ」を実践できるようになります。次回から具体的な「親メッセージ」の伝え方を学んでいきたいと思います。
多田聰夫